Monday, February 5, 2007

実用的な面展開は期待できるのか -- 国内サービスインしたFONに迫る

家庭内の無線LANを開放し,個人の力で公共無線LANの面展開の実現を目指したFONが日本でもサービスインしました.このFONには,スポンサーとしてGoogleやSkypeが名を連ねています.アクセスポイント(AP)設置数は2ヶ月で5,500程まで達しており,国内最大数を誇るフレッツ・スポットの7,000APはすぐに抜き去りそうです.

無線LANの共有には専用の無線LANルータLa Foneraを使うのですが,これが1,980円と戦略的な価格設定になっており,オフィシャルサイトやTSUKUMO,九十九電気の店頭で購入できます.単なる無線LANルータとして購入するのもありでしょう.もっとも,この製品にはLANポートが無いため,有線LANが必要であれば別途ルータを用意して構築したネットワークにLa Foneraを接続する形になるのですが.そのため,新規にLANを導入したいだけであれば安いとはいえ余計な出費になります.また,FONの内側(既存LAN)とプライベート,パブリックのネットワークは全て異なるセグメントになるため,ファイル共有を使いたい場合は素直に既存ルータを無線機能付きのものにアップグレードするか,ブリッジタイプのAPを購入しましょう.

FONとLa Foneraについては次のニュース記事が詳しいです.

ホームネットワークを開放するということでセキュリティ上の不安は拭えませんが,TSUKUMOに掲載されている解説を見る限り大丈夫そうです.ただし,公開されたAPを利用する時は注意が必要です.同じAPを利用するPCは丸見えになるので,ファイル共有はオフにしておきましょう.また,通信が暗号化されていないため,オンラインバンキング等の重要な情報のやりとりには注意が必要です.

このLa Foneraですが,中身は普通のLinuxマシンのようで既にHackしている方もいらっしゃいます.DD-WRTも動くようですが,改造に必要なsshによるログインがROMバージョン0.7.1r2で修正された脆弱性を利用しているため,現在販売されているものでは改造は不可能かもしれません.より詳しく知りたい方は,まとめwikiを発見したのでそちらへどうぞ.

さて,このFONですが果たしてどれだけの効果があるのでしょう.家庭を拠り所としているため,商業区やビジネス区等,居住区以外のエリアで実用的な面展開が期待できると私には思えません.そういう点では,利用者の多いエリアを狙い打ちにできる商用サービスに分があるのではないでしょうか.少なくとも100mしかない802.11bの伝送距離では短すぎです.周囲のロケーションに左右され,ほとんどのAPが実用的ではなくなるでしょう.802.11n対応APをいかに低コストで製造し,戦略的な価格で早期に販売できるかでFONの評価が変わってくるのではないかと思います.

あと数年もすればWiMAXやHSDPAを始めとした高速通信技術が実用化され,定額サービスとして提供されるでしょう.それらのサービスに加入しているユーザがFONを利用するメリットはあるのか.FONは低コストを売りに住み分けることができるのか.FONの命運は都市部をカバーできるかにかかっており,審判はそう遠くない未来に下されるでしょう.

参考

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